こんにちは。
INTHEKNOW編集部のNATSUKOです。
RED CARD TOKYOのシーズンアイコンとなるデニムの魅力をお届けするこちらの企画。
毎度ご好評いただきまして、前回記事のManoaでも沢山の方にご覧いただきありがとうございました。
今回は、一番の注目トピック、リニューアルされたベストセラーモデル「35th Anniversaryシリーズ」についてご紹介いたします。企画背景やウラ話を紐解くべく、生産チームへインタビューしてまいりました!
実際のインタビューした様子をお届けします。ぜひお楽しみください♪
NATSUKO「ではでは、本日もよろしくお願いします!まずはズバリ、35th Anniversaryシリーズとは何ですか?」
生産チーム「RED CARD TOKYOのベストセラーモデル“Anniversary”をリニューアルしたシリーズです。今回はラインナップを従来のスリムテーパードに加えて、新しくテーパード・ワイドストレート・ブーツカットとバリエーションを増やして展開しています。実は、プロデューサーの本澤裕治がデニムに携わった周年ごとにAnniversaryをリニューアルしているんです。」
生産チーム「また新しく35th Anniversaryシリーズの定義として、①腰まわりのフィットの改善 ②股上の共通(穿いたときの見え方の共通 ※フィットに合わせて寸法は調整しています。) ③Anniversaryシリーズの生地を使う、ということを設定しました。」
NATSUKO「それぞれ気になります!まずは、腰まわりのフィットはどう変わりましたか?」
生産チーム「前回モデルの30th Anniversaryシリーズの腰まわりのフィット感を残しつつも、座った時や屈んだ時もウエスト位置が下がらないよう調整しました。動きに対してのデニムのフィット感がすごくいいんです。」
NATSUKO「屈んでも下がらないようにということは、後ろ股上を長くした、ということですか?」
生産チーム「後ろ股上を長くした、というよりパターンを変更しました。より動きやすく、腰まわりにきれいにフィットするように、コンフォータブルな仕様に改善しています。」
生産チーム「寸法でいうと、股上を2cm深く、ウエストを3cm細くしていますが、パンツの設計上、股上が深くなる分ウエストも自然と細くなりますよね。なので、ウエストが細くなったわけではなくて、腰まわりをしっかり包み込むようなフィット感になっています。」
NATSUKO「私も穿いてみて、腰まわりの安定感に驚きました。パンツなのでレッグラインに目が行きがちですが、腰まわりがきれいにフィットしていると、全体のシルエットが美しく見える気がします。」
生産チーム「そうですね! ②の股上の共通においても、35th Anniversaryシリーズの4モデルは全て同じ腰まわりのフィットになっています。」
NATSUKO「今回新型3本登場していますが、それぞれのモデルについて具体的に教えてください。」
生産チーム「まずは王道テーパードの35th Anniversary Casual。本来のAnniversaryより、ふともも~膝下にゆとりを持たせて穿きやすくしたモデルです。新型3モデルのうち、過去のAnniversaryの流れを一番引き継いでいる形です。」
NATSUKO「私が入社してからは、Anniversaryはスリムテーパードで展開していて、ゆとりがある作りは新鮮に感じます。」
生産チーム「Anniversaryは、最初はボーイフレンドシルエットで、ゆとりがある作りだったんですよ。25th Anniversaryのリニューアル時には、細身が流行っていたこともあって、そこからは細身のテーパードで展開していきました。その後のリニューアルでは、腰の浮きをなくし、フィット感をさらに良くすることで、よりコンパクトな作りになっていきました。」
NATSUKO「最近の30th Anniversaryでは、ぴったりと穿かれる方が多かったですね。」
生産チーム「そうですね。今はリラックス感やゆとりのあるシルエットが人気なので、昔のゆとりのあるデザインに近づける形でアップデートしました。原点回帰といったら大袈裟ですが、今の気分に合わせた新しいテーパードシルエットを目指しました。」
NATSUKO「今でも初代Anniversaryは、リクエストの声が沢山届いていて、この形は待ち望んでいた方も多い気がします!」
NATSUKO「続いて社内でも話題になった新顔の35th Anniversary Wideについて教えてください。」
生産チーム「形はワイドストレートで、Anniversaryならではの快適な腰まわりのフィット感がありながらも、脚のラインはリラックス。さらにAnniversaryの特徴であるハイパワーストレッチ生地を採用しているので、生地がやわらかく気持ちよく伸びて、普通のワイドデニムよりも格段に穿き心地がいいです。」
NATSUKO「これまで美脚シルエットや細身テーパードで提案していたAnniversaryから、まさかのワイドシルエット?と新鮮で目新しい1本ですよね。でも、Anniversaryシリーズから出ているだけあって、実際に穿いたときの美しいシルエットに感動しました。」
生産チーム「今の気分にあったフィットがバイヤーさんからも人気で、オーダー数もダントツでした!」
NATSUKO「続いて35th Anniversary Bootcutについて教えてください。」
生産チーム「Anniversaryの美脚ラインにフォーカスしたフレアシルエットです。実はフレアは今までに作ったことなくて、かなりこだわりました。フレアは脚長効果が重要なので、膝位置をぐっと上げて、レングスも思い切り伸ばして、膝下が長く見えるように調整しています。」
生産チーム「また良く伸びる生地のおかげでフィットアンドフレアの美しいラインがしっかり出せています。特に、ももまわりのフィット感がとてもきれいで、30th Anniversaryよりもワタリが約0.5cm、インチで言うと1インチほど細くなっていて、さらに美脚に見えるシルエットに仕上げました。」
NATSUKO「今回改めて、3つの新型を出した経緯を教えてください。」
生産チーム「コロナ渦以降、リラックス感を求める声が増えてきたこともあり、現行モデルより少しルーズなシルエットを目指して企画を始め、35th Anniversary Casualを核に考えました。」
生産チーム「そこからトレンドのワイドフィットを。正直Anniversaryの腰まわりのフィット感と、伸びるストレッチ生地でワイドってどうなんだろう?と挑戦的でした。ただ、お客様の中にはワイドモデルを好む方も多いですし、普段バイヤーさんと接している営業からもリクエストがあり、思い切ってワイドも企画しました。」
生産チーム「そして展開数を増やすうえで、やっぱりAnniversaryのポリシーである“美脚見え”を軸にしたフィットは外せないよね、となり、そこから生まれたのがブーツカットです。」
NATSUKO「今までのAnniversaryを踏襲した王道テーパードと、トレンド感を意識したワイド、Anniversaryならではの美脚シルエットを活かしたブーツカットと新しい提案ですね!」
生産チーム「どのモデルも生地が柔らかくて動きやすいに越したことはなくて、バイヤーさん向けの展示会でも大好評でした。」
NATSUKO「今までのAnniversaryと違う点や、こだわりはありますか?」
生産チーム「細かいディテールにもこだわっていて、ボタンには“TOKYO”の文字を入れ、後ろウエストの裏側には赤字でモデル名をプリントしました。下げ札には35th Anniversaryとプリントし、専用の下げ札にしています。」
生産チーム「こうした特別感のある仕掛けもポイントですが、やはり一番は腰まわりのフィット感ですね。大きく変えるというよりも、何度も試行重ねて細かい部分をブラッシュアップしています。レングスに関しては、30th Anniversaryではすっきりとした短めの設定でしたが、今回はモデルごとに調整を加えて、幅広いスタイルに対応できるようにしています。」
NATSUKO「次に、Anniversaryシリーズといえばやわらかく伸びる生地が魅力ですが、そのこだわりについて詳しく教えてください。」
生産チーム「これまでと同じ生地を採用していてカイハラの3者混ハイパワーストレッチデニムです。ポリエステルが入っていて、綿92 %、ポリエステル6%、ポリウレタン2%の生地です。経糸には超長綿のスーピマコットンを採用しています。」
NATSUKO「スーピマコットンとは何ですか?」
生産チーム「繊維が長いコットンです。生地がフラットな見た目で柔らかくなり、穿き心地の良さが抜群です。耐久性にも優れていて、滑らかな質感も感じられます。このスーピマコットンに、凸凹としたスラブを組み合わせているので、糸に凹凸感があり縦にムラが出やすいんです。この経糸のバランスが、自然なヴィンテージ感を上手く表現しています。」
NATSUKO「緯糸にも特徴がありますか?」
生産チーム「緯糸はポリウレタンとポリエステルの2本を綿でカバーリングしています。そうするとポリウレタンのゴムの伸びがありつつ、ポリエステルの戻りの強さが相まって、伸び切らず膝抜けがしづらいんです。つまり、ストレッチで気持ちよく穿けるのに、伸び切ってダレることがないということですね。もし膝抜けしてしまっても、ポリエステルが入っているので、お洗濯後には元に戻りやすいです。」
NATSUKO「生地の風合いにもかなり工夫されていますよね。」
生産チーム「そうですね。通常に比べると、糸の芯の近くまでしっかりと染めるグランブルーという染め方を採用しています。通常は糸の表面だけ染めているので、削るとシラバが出やすいのですが、白とインディゴのコントラストが強くなりすぎてしまうんですね。一方、グランブルーで染めると、白からインディゴまでグラデーションになり、より自然でクリーンな表情が生まれるんです。」
NATSUKO「穿き心地も見た目も滑らかなのは、加工面にも特徴がありますか?」
生産チーム「仕上げにシルケット加工を施しています。この加工は、生地をアルカリ液に浸して水分を含ませることで、糸がふにゃっとせず、糸断面がまん丸になるんです。そうすると生地がよりフラットになり、表面に光沢感が出ます。生地がデコボコしていないので、縦落ちがきれいに出やすくなって、ヴィンテージのデニムらしい雰囲気が生まれるんです。」
NATSUKO「では、それぞれのモデルで加工の違いはありますか?」
生産チーム「実は新型3つ全て加工が違います。35th Anniversary Casualは今までのAnniversary通り、しっかりと加工感が入っていてメリハリがあります。穿いたときにサマになる立体感が特徴です。つまみも一番出しています。」
生産チーム「35th Anniversary Wideは見頃が大きいので、細身のAnniversaryと同じ加工にすると動きに対してのスレなどが嘘っぽくなってしまうので、ストーンウォッシュを長くして全体にアタリを出しています。ヒゲもちょっと薄くなっているんですよ。」
生産チーム「35th Anniversary Bootcutはファイン加工といって、ヒゲこすりを弱めて馴染みやすい表情にしています。通常にUSED仕上げよりクリーンなイメージですね。」
NATSUKO「しっかり加工を入れるのは耐性がある綿100生地のイメージですが、伸びる生地でも可能なのですか?」
生産チーム「RED CARD TOKYOがずっとやっていることで、どんな生地でも綿100%のような加工の表情を追求し、開発も続けています。35th Anniversaryの生地も伸びるからと言って、もやっとした中途半端な加工にならないように、ヴィンテージ見えにこだわっています。でも穿いたらやわらかくて気持ちいいというギャップ。RED CARD TOKYOがカイハラさんに別注して開発している特別な生地です。」
NATSUKO「穿き心地と本格的な見た目にこだわり抜いたRED CARD TOKTOだからこそ展開できる35th Anniversaryシリーズですね。次回はおすすめの穿き方についてインタビューしていきます。ありがとうございました!」
[今回ご紹介したデニムはこちら]